
社会的意義も大きい~大手給食会社へ就職するメリット
調理師専門学校への入学を目指すうえで、やはり気になるのが卒業後の進路や就職先。元々、目指す何かが決まっている生徒さんであれば、卒業後もその夢の実現に向けた具体的な進路がイメージできているかもしれませんが、当然すべての生徒さんが夢の実現に向けたアクションを起こす訳ではなく、
堅実に一般企業への就職を目指す
という選択肢もまた王道のひとつではあります。
学生生活のなかで、いざ卒業という二文字が視野に入る時期になると、「自分はどのような道に進むべきだろう」と悩む機会も増えてくる傾向にあります。当然、多くの学生さんが初めて企業に就職するわけですから、候補となる企業のブランド力や給与などの待遇、さらには働きやすい職場環境か?、自身のスキルを活かせるか?などなど
価値観などのソフト面・待遇などのハード面の双方で悩む
のは、専門学校生に限らず、大学生も含めて基本的に誰でも同じなのです。
なお、新卒向けの就職情報サービスを提供する「学情」の調査によると、「就職活動に不安がある」と回答した学生がなんと9割以上(※)
出典:学情「あさがくナビ」
https://service.gakujo.ne.jp/wp-content/uploads/2023/10/220224-navienq.pdf
その不安の多くは、内定獲得への不安や就職したい企業を見つけられるか?といった現実的な悩みであり、特にここ数年は給与や待遇といったハード面より、安定した大手企業への就職を希望したり、楽しく働ける職場を求める学生が増えてきているため、就職活動への不安や悩みは、多くの学生で感じやすくなっているのかもしれません。
そんな安定の大手企業への就職ニーズが高まるなか、調理業界においても
大手給食企業を目指す学生が増加傾向
にあり、調理師専門学校の卒業後の定番進路という見方から、
花形の就職先として見直されつつあります。
一般的な給食会社のイメージとしては、学校や病院、老人ホームなどの多彩な施設で、大人数の食事を提供する集団給食のプロといったポジティブな印象を受ける反面、どの現場も激務といったネガティブなイメージもあります。就職先として敬遠する学生さんもいない訳ではありませんが、当然卒業後に料理人として独立したり、小規模な飲食店に就職するよりかは
遥かに待遇が充実し安定している
ということが言え、給食業界の各企業も人手不足を背景に年々待遇が良くなってきていることは言うまでもありません。何より、20代の働き手がそもそも減少していることから「どの職場も人手不足が深刻化・・・」、待遇が良くなるのは至極当然なのです。
今回は、そんな再注目を浴びている「大手給食会社への就職」という点にフォーカスし、改めてこれら企業へ就職するメリットを考えつつ、待遇面以外での特筆すべき点なども詳しく見ていきたいと思います。
現代における働き方の認識においては、
自身のライフスタイルを大切にする
といった欧米諸国のような概念が定着しつつあり、私生活をある程度犠牲にしてでも自身の夢を追いかけるもよし、安定を求めて大手給食会社に就職してもよし、多様な価値観のなかで絶対的な正解がないのが就職活動でもあります。
今回の記事では、そんな大手給食会社ならではのメリットをしっかりと理解し、自分自身における仕事や私生活に対する価値観と照らしわせ、卒業後進路の選択肢の幅を広げるための心構えを紹介していきます。
■関連記事
気になる卒業後の就職先と免許を活かした卒業後の進路

引く手あまたの給食業界の魅力はキャリアの幅広さにあり?
調理師専門学校の卒業後の進路においては、「▼就職・卒業生」のページでも多彩にご紹介しているように、各ジャンルの飲食店からホテル、給食サービスなど、食にまつわる様々な業種が選択肢に含まれます。食に関する業種において、調理師専門学校の卒業者・調理師免許取得者は、
調理師としての知識や技術を有している証明
でありますので、どのような業種においても順応でき、職種に応じて柔軟に対応できると言っても過言ではありません。ただし、飲食店などの調理現場においては、調理技術や知識こそ磨き続けることはできても、レシピ開発や商品開発といった業務に携わる機会はあまりなく、また和食や中華、フレンチといった専門分野の調理スタッフともなると
他の分野の調理技術を身に付ける機会にも乏しい
ということも言えます。
もちろん、就職先によっては入職後のスキルアッププログラムが充実しているところもあるかもしれませんが、例えば卒業後にフレンチ一本でやってきた料理人が30~40歳前後になったときに
自分はフレンチ一本でやってきたから腕は確か!
と胸を張れる一方、
自分はフレンチしか知らない・できない
という見方もできるので、今後の転職先の選択肢が狭まってしまうことはもちろん、
人生としての選択肢も限られてしまう
ことにもなりかねません。
できれば、20代のうちに様々な職種を経験し、30代からはその道のエキスパートとしての経験を積んでいくというのが理想的なプロセスではありますが、その度に転職を考えるのは現実的ではありませんし、自身のキャリアに傷がついてしまうことにもなりかねません。
そんなキャリアアップのプロセスに有利となるのが大手の給食会社なのです。
調理師専門学校卒業後の進路においては、主に下記4つのジャンルがあると仮定した場合
・調理現場(各種飲食店・集団調理など)
・独立開業(自身の夢の実現)
・食品業界(メーカーでの製造や流通)
・教育研究(食品・メニュー開発など)
その多くの職種に携われる可能性が高いのが大手の給食会社です。
もちろん、現場での調理実務といった下積みは必要だとは思いますが、その後のキャリアアップによっては、栄養士と連携して商品開発を行ったり、品質管理や販売、流通など、食に関連した
様々な職種に異動できる可能性が高い
のも大手給食会社ならではですので、キャリアアップのためにわざわざ転職する必要がないということを考慮しても、大手給食会社への就職は「安定」以上に得られるものが多いのです。20代くらいですと、どうしても「独立開業」がカッコよく見えたり、「オーナーシェフ」という言葉に憧れを持ちやすい年代ではありますが、
若いうちに色々なことを経験しておく必要性
というのは、何も調理業界に限った話ではありませんので、大手給食会社の魅力やメリットは、単に安定や福利厚生が充実しているといったハード面だけでなく、「キャリアの幅広さ」や「様々な経験を積める可能性が高い」というソフト面もちゃんと加味したうえで、就職先を検討するようにしましょう。
■関連記事
公衆衛生から食文化概論まで~多岐に渡る調理師の受験科目を知っておこう

視野を広げてキャリアアップ!様々な職種を経験できる環境を選ぼう
前段では、様々な職種でキャリアを積むことの魅力について紹介しました。 改めて説明の余地はありませんが、様々な職種に携わることで視野が広がり、「こんな仕事もあるんだ?!」という気づきが得られるだけでなく、その職種に興味が湧いたり、本当に自分に向いていると思える仕事に出会えたりと、
人生における様々な可能性が広がる
という点もまた大きなメリットのひとつではあります。
「せっかく調理師専門学校を卒業したのだったら調理の道に進むべき」という考え方もあるかもしれませんが、調理実務を行うだけが調理ではなく、あくまで「食に関する仕事」という広い視野でみれば、コンビニの商品開発から宇宙食の開発研究も、調理の知識や技術が活かされる職種なのです。
また、様々な職種を経験することで、栄養士や介護士・看護師といった
調理師以外の有資格者との連携機会も増える傾向
にあり、それら方々に影響を受けることで、さらに自身の視野が広がるといったこともあるでしょう。こうした広がる視野の可能性を重視するのでれば、やはり職種の多い大手給食会社を就職先候補として選ぶのは当然であり、大手給食会社のなかでも、
どのような職種が募集要項に挙がっているかをチェック
することで、自身のキャリアアップの可能性を推し量ることができます。
大手給食会社における主な職種としては
・調理現場での調理スタッフや補助
・病院や介護施設での栄養士・臨床栄養士
・事業所での衛星管理責任者
・事業所での責任者・マネージャー
・商品開発や営業・人事などの本社系業務
などが挙げられ、もちろん会社によって組織体系は様々ですが、職種が多いほど身に付けられる知識や技術の幅が広がることは言うまでもありません。大手給食会社としては幾つかの選択肢がありますが、どのような職種があるか?、どのようなキャリアアップが図れそうか?といった点を、事前にイメージしておくと良いかもしれません。
ただ、様々な職種を経験できる可能性があるにせよ、重要なことのひとつに
自身にその意欲があって仕事に対して真摯に向き合えるか?
という点が挙げられます。
仮に大手給食会社に就職し、配属先が自身の希望やイメージとかけ離れていたとしても、与えられた仕事に真摯に向き合わなければ、当然他の部署への異動の可能性は低くなりますし、会社組織としてもスキルアップの可能性が低い人をわざわざ多彩な職種を経験させる必要はないのです。会社組織でしっかりと評価されることで、
次のステップアップへのチャンスが訪れる
ということを忘れないようにしましょう。
いかがでしたでしょうか?
昨今、引く手あまたの給食業界においては、入社後に様々なキャリアアップの可能性を秘めていることを加味したうえで、安定や充実といったハード面のメリット以外の部分をもっとフォーカスしてみると良いかもしれません。
■関連記事
似て非なる調理師と栄養士の違いと飲食店開業に欠かせない食品衛生責任者とは